「風の中を」
(3)

空は高く

風は心地よい

こころも充実している

それなのに私は何を望もうとしてるの?

・・・・自分でもわからない

なにかにとりつかれたように

今日もまた、風の中を走る





山形県に入り右手には蔵王が見えてきた
一度はここでスキーをしてみたい、毎回ここを通るとき思う

暑さはどんどん増してくる
給油のためガソリンスタンドに入る
「東京からきたんだ」スタンドの人が言う(この頃は東京の亀戸に住んでいました)
「ここまで大変だってでしょ、今日も暑いから」
スタンドのお兄さんはやたらと話しかけてくる
「そうですね、福島に入った辺りから暑くなってきました」
スタンドの人は「どこのインターで下りたの?」
私が言う「東京から下を走ってきました」
「へぇー、大変だったでしょ、高速を使えばラクなのに・・・・」
私は「そうですね、きっとラクでしょう、でもいろいろな町やその景色が見れませんから」
スタンドのお兄さんは感心したように「そりゃそうだ、」と笑う「いい心がけだね」そういって
ガソリンをいれ終わり、事務所の方に伝票を取りにいった
私はバイクをスタンドの隅に止めて 事務所の中でコーヒーを飲みながら涼みました


私はスタンドの人に礼を言ってまた北に向かって走り始めた

あの人は今どこを走っているのだろう??
そう思いながらいろいろな事が頭をよぎった



私達三人は、東京と埼玉に住んでいる中学校の仲間です
住む所は別々になっちゃったけれど、よく集まってはツーリングに出かけました
そして東北にツーリングに行く事になり それが三人集まっていく最後のツーリングになりました


風の中を景色を見ながら走るのはとても素敵です
いろいろな町、いろいろな珍しい物を発見できます
(ここにはまた来よう)なんて思いながらそこをそのまま通りすぎたり
この道は謝りだった、今度北に行く時は別のルートで行こう
そんな事を思いながらアクセルを開けています
何度か北に行って自分なりのベストルートを見つけました
それが今走っているルートです

松尾芭蕉で有名な「山寺」方面の看板が見えてきました
ここの交差点を右に曲がると山寺方面です
「一度・・・絶対に行ってみよう」そんな事を思いながら交差点は直進します
(何度も通る時に思う事です)(未だに行っていません・・・でも未だに行きたい)
私はここの交差点を10Km過ぎてから 遅い昼ご飯を食べる事にしました


三人で東北を走りに行って山形の北部 それも奥深い山の中で休憩した時
小川が流れていた小さな木製の橋の横で休んでいると
仲間の一人が騒ぎ出しました
「わぁ〜、助けてー」
騒いでる方を見ると「・・・・・・・・・」なんと一人の仲間に「アブ」がたかっています
そして手で払いながら走りまわってます
私ともう一人の友達は悪いけど笑ってしまいました
たかられてる友達は「悪いけどアブがいないところまで先に行こう」そういって
バイクにまたがり先に走り始めました
笑ってた私達もすぐに後に続いてバイクを発進させました


お昼ご飯を食べ終わり少し休憩してからまた走り始めました
もうすぐ あも人に会えるのね(この頃は携帯なんてなかった 連絡はとれない)
私はいろいろな思いを胸に待ち合わせの場所を目指した


続く


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